たまには日常をはなれて旅でリフレッシュしたいのは、子育て世代も同じです。

今年はゴールデンウイークが10連休になり、ここで旅に出なければいつ出るの?という絶好のチャンス。これからの時期は、夏休みも視野に入れて、旅行の計画を立てはじめるタイミングです。

わが家は、何となく出かけてそれなりに楽しかったけど疲れる……というマンネリ感あふれる旅行は、そろそろ卒業したいと思っているところです。

子どもとの旅行は、段取りや余裕を持ったスケジューリング、荷物の多さといった大変さはありますが、せっかくならば、ただの思い出づくりではなく、子どもの価値観をより豊かにする旅にできたら最高ですよね。

子どもの「やってみたい」を中心にした旅で親子の結びつきが強まった

わが家は、私と夫が行き先を決め、ネットで検索した評判のいい観光スポットや飲食店に行くという、よくある家族旅行がほとんどでした。

ある時、私が1週間出張することになり、初の父子旅行をすることに。夫はまず、当時5歳だった長男に「どこに行きたい?何をしたい?」と聞きました。

長男は動物が大好き。動物の本やテレビ番組を熱心に見ていました。そんな長男のリクエストは「タンチョウヅルが見たい!」

タンチョウヅルは上野動物園で見たことがありましたが、自然の中で見てみたかったようです。面白がった夫は、北海道までの飛行機とレンタカーと宿だけ予約して、あとはタンチョウヅルを見る目的以外は気ままな旅を計画しました。

よほど楽しかったのか、9歳になる今でも長男と夫の心に旅の記憶は強く残っているようです。この旅をきっかけに父子の結びつきが強まったのも、予想外のうれしいおまけでした。

夫だけ、夫婦だけならば思いつかなかった旅です。子どもと一緒だからこその旅のかたちがあるのだなと、大きな発見があった出来事でした。

ダメ出しはNG!子ども主導の旅ミーティングをしよう

初の父子旅行は、後から振り返ると、最近注目を集めている「旅育」だったのだなと気づきました。

旅はさまざまな体験を通して学び成長させてくれます。修学旅行や臨海学校なども、その狙いがあってのこと。それを家族でやってみようというのが旅育です。

どこに行くかよりも、何をするかという「目的」にフォーカスするのが最大のポイント。

「今度の連休は旅行しようか」となったら、まず子どもがやってみたいことを聞きます。大人は、予算を決め、やりたいことができる場所を探すなどのサポートに徹します。

そう、計画段階から子どもと一緒に進めるのです。働くママならば、ミーティングやブレインストーミングはお手の物でしょう。

この時、ついダメ出ししたり大人の思惑に誘導したりしたくなったら、ぐっとがまん。効率よく進めたい、親の希望で「(子どもに)〇〇させたい」という気持ちが悪いわけではありませんが、言葉にするのに時間が必要なお子さんもいますし、何より、本当に身になるのは本人がやりたがっていることです。ここは根気よく話し合いましょう。

ちなみに旅育は、言葉でのコミュニケーションが取れるようになる3歳前後を節目にはじめるのがおすすめです。

思い切って子どもに任せることで親も成長できる

何をやりたいかはお子さん次第ですが、たとえば、日常生活ではできない体験をする、モノづくり、自然に親しむ、文化を学ぶといったジャンルは想定できます。

ふだんから、子どもの興味に関連したイベント、施設などをチェックしておくとイメージしやすいかもしれません。

あとは、お子さんの年齢に応じた関わりも意識してみてください。

旅行前に時間を調べてもらったり、荷物の準備を一部やってもらったりなどです。手を動かすのが好きなお子さんなら、「旅のしおり」を作ってもらうと楽しみが増えますね。また、旅行中のみんなのおやつを用意・管理する「おやつ係」などの役割を設定するのも手です。

子どもの成長を真剣に考えている人ほど、つい先回りしてお膳立てしてしまいがちです。「子どもの成長や自律を奪っているかも……」というジレンマを感じている人も多いのではないでしょうか。親は、思い切って子どもに任せる体験を重ねることが必要なのかもしれません。

旅という楽しい非日常のイベントだからこそ、その良いきっかけになるでしょう。

どこに行ったかよりも、何を感じて学んだかが子どもの財産に

子ども主体にすると、大人は少し大変に感じるかもしれません。ただ、デジタルネイティブとして育つ今の子どもたちにとって、リアルな世界で本物に触れる体験がますます重要になるのは間違いありません。

いつもと違う人・モノ・場に出会い、「違い」に気づいて理解していく。旅はそんな発見の連続で、価値観を育み、日常生活にフィードバックできる学びをもたらしてくれます。

また、こんな研究結果もあります。米コーネル大学の心理学教授トーマス・ギロヴィッチ博士は、モノと経験を買うことで起きる人間の気持ちの変化を20年かけて分析してきました。結果は、経験にお金を払う方が、モノを買うよりもずっと幸せを感じるというものでした。

さらに、冒険に関わる喜びは長続きすることもわかりました。

そんな視点を意識しながら、自由な発想で子どもとの旅をデザインしてみてはどうでしょうか。大人も、この旅で自分が何を見つけて何を感じるのか、ワクワクしながら計画できるといいですね。

子ども起点の旅はふだんの生活も変える力を秘めている

子ども起点の旅行では、子どもの意外な姿、時に成長した姿が見られるかもしれません。そこで親は、子どもは一方的に教え導く対象ではなく、ともに学び合う関係であることに気づくかもしれません。

もちろん、その旅行で何を感じ、何を学ぶかは、お子さんの自由。その時は大喜びというわけではなかったのが、のちのち大切な体験だったと本人が振り返ることも十分ありえます。

親ができることは、一緒に楽しむこと。それに尽きます。そんな旅で得た経験はきっと、ふだんの子どもとの生活も変えてくれるはずです。